:: tex808 ::


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 でも今まで問題はなかったんですよね、と伊元さんは言った。伊元さんはプリンタの前にいて、ふだん私の背後に座っている先輩と、それから修理に来た人がそこにいた。先輩がこたえた。プリンタのIPアドレスが浮動で取得されていると業者さんはおっしゃいました。つまり、プリンタがネットワークに接続するたびにIPアドレスが変更されるんです。するとIPアドレスを指定している社員はプリンタにつなげなくなるわけです。

 そこで伊元さんは言った。でも今まで問題なかったんですよね。今までは固定されていたのです、と先輩は辛抱強く言った。それがどういうわけか変更されていたのです。私には再設定の権限がないので、伊元さんからしかるべき部署に依頼していただかなきゃいけないんです。

 そういう変更をしていただいては困ります、と伊元さんは言う。先輩はもう一度、ごくゆっくりとこたえる。私がしたのではありません。このあたりの人間はその権限を持っていません。伊元さんはたずねる。印刷できなくなったのは昨日ですよね、何か変わったことをしませんでしたか。先輩はそれに答えずに一度天井を見て、それから修理の業者さんを見て、言う。プリンタ側でアドレスを固定することってできますか、そしたらユーザがその番号に変えればいいんですが。できますよと業者さんはこたえた。

 先輩は付箋にIPアドレスを書きつけ、これが新しい番号です、と言う。ここにいる人間には私から伝えますが、他所から使うこともあるので、メールを出していただけませんか。伊元さんはいささか迷惑そうに、わかりました、と言った。それで問題ないんですね。

 作業が完了し、私は先輩をねぎらった。伊元さんじゃなくて先輩が総務みたいでしたねえと言うと彼はまったくだよと言って笑った。業者さんとの会話があんまりちぐはぐだから割って入ったら、僕がプリンタを故障させた犯人みたいに言うんだもんなあ。先輩が正義だということを私たちは知っています、だからだいじょうぶです、と後輩が言い、私たちは笑う。正義は勝つ、と先輩は小さく言い、もっと小さくつぶやく。正義ねえ。

 数日後、先輩からプリンタのIPアドレス変更についてメールがまわった。少し変な気がした。これは伊元さんが出すべきメールじゃないんだろうか。軽く気になって、忘れて、そのまま半月を過ごし、自席にコンビニエンスストアの袋を置いた上長の顔を見て思い出した。加賀さんと呼びかけると彼はお弁当の蓋についているテープを注意深く剥がしながら、ほうい、とこたえた。お食事中に恐縮ですが、と続けると、許さん、と言う。槙野さんも食べるなら許すというので、私も朝に買っておいたサンドイッチをひらく。伊元さんのことなんですが。

 上長はペットボトルの黒烏龍茶を少し飲み、あのさあ僕がこんなもので痩せられると信じてるなんて思わないでよね、と弁解する。単に味が好きなんだ、ほんとに、まじで。私が笑ってわかりましたとこたえると彼は重々しくうなずく。それから軽々しく言う。伊元さんはねえ、忘れちゃったんだよ。

 IPアドレス変更のメールをですか。そう訊ねると彼はふにゃふにゃと笑って、プリンタの件、聞いたから、ぼく伊元さんの上司に告げ口して、それで彼、叱られたみたいだねえ、と言う。だからさ、きれいに忘れちゃった。

 私はそのことばを理解するより前になぜだかぞっとして、それからそっと質問する。忘れたんですか。忘れたんだねえ、と上長はこたえる。たぶん自分が間違っていたとわかったら、それを忘れるんだ、そういう人っているんだなって思った。ひどく叱られたのかなあって心配になって、プリンタの件ですが、って声かけたら、ぜんぜんわかんないんだ。なんか僕、なんにも言えなくってね、プリンタの件はうちからメールを出してもらった。

 かつ丼をむしゃむしゃ食べてから、忘れちゃったら悪くないね、と上長は言う。自分が悪かったこと、それも自分に理解しがたい内容で自分が悪いとされること、そういうのは、気分のいいものじゃない、内心での取り扱いがけっこうめんどくさいものだよ。でも僕らはしかたなくそれを取り扱う。そして正義ときどき悪、であるかのような自分をどうにかして作っている。でも伊元さんはたぶんそうじゃないんだ、伊元さんの正義はもっとインスタントなんだ、伊元さんはえらい人の言うことを聞いて自分が悪かったことは忘れる、だからいつも、正義なんだよ、それはとても、きっと簡単だよ。

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— 1 month ago with 14 notes
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他人を喜ばすのは結構楽しい。それを頭の片隅に入れておくだけで、ずいぶん世の中の見え方が変わります。そう考えれば、世の中、楽しい事だらけなのですから。 (P81)

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— 2 months ago with 609 notes
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1.よく陽に当たる ― 陽に当たるとメラトニンが分泌されストレスが溜まらない

2.朝ゴハンを食べる ― 朝食を食べるとブドウ糖が脳に行き、頭が働く

3.お酒を控える ― 感情の抑制がきかなくなるのでお酒はほどほどに


4.疲れたときには、ゆっくり休む ― 疲れるとイライラする。とにかく休む

5.異性にモテる努力を放棄しない ― 男は男らしく、女は女らしくいることが性ホルモンの働きを刺激する

6.ゲラゲラ笑う ― 笑うとNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化、免疫機能がアップする

7.適度なストレスはエネルギー源 ― プラスの方向に働くストレスもある

8.運動を生活の中に取り入れる ― 運動は老化抑制効果が高い。歳をとるほど運動量を増やす

9.仲間や友達としゃべる ― 職場のうっぷんを晴らす居酒屋文化は大人の知恵

10.場合によっては医療機関で薬をもらう ― 薬を飲んだほうが回復が早まることもある

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— 2 months ago with 671 notes
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■exワーカホリック

ちょっと前まで、IT土方(っぽい雑用係みたいな奴隷)やってた。

勤めてた会社は要するに、とんでもねーブラックだった。

鬱になって辞めた。

半年無職だった。


根深い企業不信に陥って、いまは派遣で働いてる。


ぶっちゃけ今の職場、周りは頭のユルそーなねーちゃんばっかりなんだが、

彼女たちは毎日よく笑って、休みの日を楽しみにしていて、

なんていうか人生をエンジョイしてる感じがする。


彼女達は将来のこと(キャリアパスとかファイナンシャルプランとか)なんて

なんにも考えてなくて、しかも大したスキルもなくて、

実家が資産家なわけでもないんだけど、どこかに行ったり、

欲しい物を買ったり、美味しいご飯を食べたりするのを楽しんで、

友達とたくさん話をして、とてもいい笑顔を見せてくれる。


これはなんだ?

自分が見てきた世界と全然違うじゃないか。

仕事のことがぜんぜん分からなくても自分を責めてない。

「だって社員さんからの説明がないからしょーがないじゃん」

「その時によって違うんだから毎回聞かなきゃわかんないじゃん」


え?


え?同じ事を2回聞いたら殺されるんじゃなかったの?

自分で調べてどうにかしない人間には生存価値がないんじゃなかったの?

知らないこと、分からないことは罪じゃなかったの?

自分の仕事だけ終えて帰るのは非国民じゃなかったの?


めちゃくちゃショックだった。

価値観や考え方が違うってのは、こういうもんなのかと衝撃だった。


いま、自分のキャリアやスキルはどんどん価値が失われてるんだろう。

だけど何か違う世界を見た気がしている。

洗脳が解けたんだろうか。

やっと欝は治ったんだろうか。


いま連休を前に、

「どーせ休んでも何もすることねーしアノ仕事進めといた方がよくね?」

じゃなくて、

「やったあ!連休だよ!何しよう!?みんなは何するの!?」

って気分にやっとなれた。


ああ、自分は死ななくてもよかったんだなあ。

みんなにも楽しい事がありますように。

"
— 2 months ago with 1265 notes
"◆なにかを考えるための10カ条
 
  ひとつのことを考えるとき、

 1.そのことの隣りになにがあるか?
 2.そのことのうしろ(過去)になにがあったか?
 3.そのことの逆になにがあるか?
 4.そのことの向かい側になにがあるか?
 5.そのことの周囲になにがあるか?
 6.そのことの裏になにがあるか?
 7.それを発表したら、どういう声が聞こえてくるか?
 8.そのことでなにか冗談は言えるか?
 9.その敵はなにか?
 10.要するに、それはなにか?"
— 2 months ago with 194 notes
"あのね、ま、言いづらい話なんですけど、 世の中には「頭のいい人になりたい人」というのが すごくたくさんいてね、多くの場合、 その人たちが迷惑をかけるんですよ。 なぜかというと、頭のいい人になりたい人たちは、 すごく頭のいいことを考えて、 みんながそれに従えば 世の中がよくなると思ってるんです。 で、法律や、決まりや、 マニュアルをたくさんつくる。 それに従えば幸せがやってくると思って。 「1、こうするといいぞ」とか、書くんです。 でも、みんなは、頭のいい人の思惑を外れて、 「えっと、4番はなんでしたっけ?」とか、 「俺、じつは読んでないんですよ」とか、 「まぁ、いいじゃないですか」とか言うわけです。 そうすると、頭のいい人になりたい人たちは、 「どうして大衆ってバカなんだろう」って もう、涙を流しながら思うんです。 「だから戦争が起こるんだ」とか言うんです。 でもね、彼らが言うようなことが、 世の中を変えたことは一度もないんですよ。 まあ、変える手伝いくらいにはなるにしても、 本当になにかを変えるようなものっていうのは、 「こっちのほうが美味しかったぞ」とか、 「つかってみたら便利で、もう戻れないや」とか、 そういう「事実が先に突っ走ったこと」ばかりで、 決まりやルールは、あとからできるんです。 で、宮本さんがやってる方法というのも、 そういうことだと思うんですよね。 まずは事実を先に動かしてしまう。 それがないと、ことばもまとめられないから。 最初の『マリオ』のころからそうでしょう?"

宮本茂さん、『Wii Fit』などを語る。
2008-02-09

100回リブログしたい

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2012-02-20

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— 2 months ago with 2530 notes
"俺はサザエさんフリークだ。

日本総国民がサザエさんを見ていると思うが、中でも息の長いファンだと言いたい。
よく、サザエさんを見ないと月曜が始まらないとか言うが
俺としては、四六時中「サザエさん」を録り込んだテープを回してるわけで
いつが月曜だか日曜だか、週感覚がなくなってきている。
うちの旧式のVHSビデオデッキの録画スケジュールから
「サザエさん」が消えたことはない。


さて、「サザエさん」は主に2人の脚本家が執筆している。
雪室俊一と城山昇だ。
1話ごと、この2人のどちらが担当する回かを把握しておくことで
より楽しむことができる。

意識して見ているとだ、よりぬきサザエさんから引っ張ったようなエピソードでも
明らかに傾向が見えてくる。

雪室俊一。68歳の大ベテランで、時折あれ?と思うような昭和の古臭さを醸し出す。
このセンセの回はとりわけ子どもをネタ振りに使うことが特徴的だ。

特にタラオ。
タラちゃんが、妙にませた物言いでとんちんかんな事を言い始めたら
大抵、雪室作品だ。(2択なんだが)

よくあるパターンは、大人の会話を盗み聞きして、
タラ流なルールで使い始めるというもの。
「おじいちゃん、○○は△△なんですぅ」とか自信たっぷりに言うと、
マスオ辺りが真に受けて、ますますタラオが増長し、
今日も磯野家はてんやわんや、、というパターン。
幼いタラオをダシにした、微笑ましい大人目線のエピソード。

こういった回が俺は大好きなんだが、その楽しみ方はちょっとヒネている。
雪室先生の豪腕は、大抵が超強引なオチ(もしくはオチなし)で締めくくられるからだ。
ドリフだと、セットがどがちゃかに壊れてそのまま次セットと入れ替わるような感じ。

始まったらまずタイトルを確認。
(実際は前の週の予告の時点で、「タラちゃん 小説家になりたい」とか
怪しげなタイトルを見た時点で一週間胸がワクワクしっ放しなんだが)
で、子どもが絡みそうなタイトル且つ、次に脚本家に雪室俊一の名前を見たら
その回は“当たり”だ。超強引なラストが待ちうけていることが確定。
後は、誰が、どう強引にオトスのかを予想しつつ、そのオチのパターンを脳内で
1話10分の間に『よりぬきサザエさん』の膨大なエピソードの中から探していく。

アニメ「サザエさん」は、大抵1話の最後に、
その回の流れに かするくらいのエピローグエピソードが入っている。
これ、必ず長谷川町子の4コマ漫画のオチから引っ張っているんだが、
どれが使われるかなかなか当たらない。
うちにある68巻ぶんの『よりぬきサザエさん』と、
俺の見続けている20年以上の放送傾向の中から探るわけだが
こいつが相当に難しい。過去問だけじゃ試験は突破できないということか。


特に、最近、雪室俊一脚本には新しい傾向が入って来ている。
そいつが、カツオと花沢さんのエピソードだ。

10年、20年前にはなかった、この少年少女が二人きりで行動するような回が
ここ数年の間、頻出している。
進学塾なら講師が花丸つけるくらいの、要注意ポイントだ。

昔、花沢さんがイイ女だ、という話をここで書いた記憶があるが、
最近の花沢さんは、着々とカツオとの二人っきりの時間を持ち、
要所要所でカツオをサポートし 磯野家にも頻繁にあがりこむようになってきた。
花沢不動産にて、親のいない間に二人で密談する回なんてざらだ。
もしクラスメートに見られたら噂になっても仕方ない状況だし、
このカップル誕生のお陰で中島やカオリちゃんの登場回数が激減している。

こいつは、雪室の陰謀だ。雪室俊一はカツオと花沢さんをくっつけたがっている。

そういった目線で見ていると、実に花沢さんのアプローチが的確で、
カツオもまんざらではないという形が出来上がっているか分かってくる。

そんな、脚本家に ひいきにしているキャラクターがいると“思い込んで”見るのも
楽しみ方の一つだ。
そして、ひいきキャラにもブームがあることも覚えておくといい。
実際、今はタラオ>イクラ、だし
(昔昔はイクラが最強だった時代が確かにあった。政権交代したようだ)、
フネとノリスケはジョーカー的な存在である。
ここ最近、ノリスケがぎゃふんと言わされる回にはまず出会った事がないし、
フネは常にスーパーウーマンだ。

俺の中ではフネ最強伝説がある。
フネは波平を手の平の上で転がし、波平のちょこざいな隠し事なんぞ
フネは全て把握している。
そう“思い込んで”見ると、フネの言動の端々に
ギラッと光るものが隠されているのが見えてくる。おーこわ。

そして、サブキャラ・子どもへの思い入れが強いのか、
よく主役であるサザエが置いてきぼりにされる。
続けて意識して見ないと分からないかもしれないが、
今サザエはお飾りの存在だと思う。


どうも、雪室俊一は、古典的な話作りが芯にあるのか、
起承転結、序・破・急の構成が強く分かりやすい。
原作通り、実に4コマ的で、出だしから先読みできる。

雪室俊一脚本のサザエさんはもう、
予想ゲーム、推理ゲームの感覚で割り切って見た方が、断然面白い。
子ども中心に見るのと、大人中心に見るのとで、
全く捉え方が変わってくる。


そして今日も、俺はタラオエピソードを心待ちにしている。
カツオと花沢さんの密会にドキドキする。
そして次週予告でじゃんけんの前に
「タラオがメインってことは・・・・・・雪室俊一か!」と一人ごちる。"
— 2 months ago with 1278 notes
"アーリーアダプターは日本語に訳すと「またおまえらか」で合ってますか?"
— 3 months ago with 866 notes
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「勝てそうにないときは、逃げていい。それは負けじゃない」

日本軍はね、退却するのは恥だと思ってた。それで局所的な戦いで力を出し尽くして、勝った勝ったなんて喜んでた」

「ところがアメリカはどうだ、さっさと退却して作戦を練り直して、もっと効果的なところで打って出た」

「逃げていいんだよ。そして勝てそうなときに出ていくんだ」

「つまりゲリラね」

  

逃げていいんだ、つまりゲリラね、という言葉を今もよく思い出して、その意味を考える。

退却しながら弾を打ったりするのは弾のムダだ。背中を見せたら撃たれるなんて思い込むことはない。上手く逃げるんだ。

上手く逃げて、とにかく生き延びる。そして勝てそうなときに出て行く。人生は長い。

"
— 3 months ago with 1664 notes
"図書館がお金を産まないと思っている人はシムシティをやるべきだよね!学校が地域の教育水準を上げ、図書館がそれを維持し、高まった教育水準が企業を誘致し、企業が雇用を産み、人を呼び、人がお金を落とす。 現実がそううまくいくかはわからないけど、教育ってそういう、先行投資なんですよ"
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— 3 months ago with 1056 notes